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恩田陸「ユージニア」 

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恩田陸「ユージニア」2005年2月5日初版北陸・K市の名士・青澤家を襲った大量毒殺事件。乾杯の音頭の直後、皆がもがき苦しみ始めた。家族・親族、相伴に預かった業者、遊びに来ていた近所の住人・子どもたちも合わせて、17名が死亡した。現場には、ユージニアという意味不明の言葉が出てくる詩のような一通の手紙が残されていた。

事件は混迷を極め、捜査は遅々として進まなかった。しかし、事件から約3カ月が経過した10月も終わりの頃、一人の男が自殺した。不眠と妄想に苛まれ、精神科への通院歴もあったこの男が、今回の事件をやったのは自分だ、と遺書を残していたのだ。不明な点もあったものの、事件は一応の決着を見た。

事件から数十年、見落とされていた事件の「真実」を人々が語り出す。




没入感のある素晴らしいミステリーでした。

誰かの独白、誰かのインタビューで話は進み、話し手と聞き手が章ごとに異なるので、そこが謎のキモになっています。
ミステリーと言っても誰が犯人かを当てるタイプの小説ではなく、情景と風貌を頭の中で構築できるかというところにかかってると思います。殊に青澤緋紗子の造形ですよね。私の中では(そんな描写無いんですが)裾足らずの着物を着ている青白い肌の薄幸そうな絶世の美少女のイメージがありありと浮かびました。後半になっての落魄した中年女性というのもスムーズに思い浮かびましたね。


最後までハッキリと真実が描かれるわけではないし、動機も曖昧すぎて好みはありそう。
読了した後に見た公式ページに「恩田陸版ツイン・ピークス」と書いてありましたが、ツイン・ピークスってこんな感じなんですか?(読んだことない奴)
実行犯がアイツで、教唆した?のがアイツで、更にその教唆犯に何かしら吹き込んだのがアイツ、くらいしかわからない。

物証も消え、消極的追求者も亡くなり、劇中の喩え話であるように「山奥の山荘で全員が殺しあったとして、その後雪崩で建物ごと全部埋まって発見されなかったら最初から無かったのと同じことになる」と同じように「そして『祝祭』さえも忘れ去られた」となる。


誰一人幸せにはなってないのでなんだかなという感じですが、心地良くトリップできたので申し分なし。いい体験でした。

カテゴリ: 読書、漫画

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